2012年12月20日木曜日

「SteelSeries Sensei」レビュー。新たなフラグシップマウス「先生」は買いなのか

SteelSeries Sensei
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実勢価格:1万1000円前後(※2011年12月5日現在)  「先生」という,少なくとも日本人にとっては衝撃的な製品名で登場した,SteelSeriesの新世代フラグシップマウス,「SteelSeries Sensei」(以下,aion RMT,Sensei)。LEDイルミネーションや,最大11400CPIの設定が可能なレーザーセンサーを搭載し,さらに内部処理用としてPentium/75MHz相当の性能を持つARMベースのプロセッサを内蔵すると謳われるという,SteelSeriesらしからぬ製品だ。
 「マウスが光る必要はない」「ゲーマー向けマウスの高CPI/DPIに意味はない」などといった,SteelSeriesが強く主張していた内容を,その仕様でもってことごとく否定するSenseiを見て,「じゃあ今まで偉そうに他社ブランドをDisってたのはなんだったの?」と思った読者も少なくないだろうが,そのあたりは,別途ので,ぜひチェックしてもらえればと思う。
Sensei(先生)というのは,欧米だと,「教師」ではなく,「武道の師範」的な意味合いなのだそうだ。そう言われてもネイティブの日本人としてはどうしても違和感が残るのだが,まあ,そうなのだと納得するほかなさそうである  インタビューを要約すれば,「イルミネーションは顧客の要望に答えた結果であり,11400というCPIはCPIの高さを競うかのような馬鹿げた競争を終わらせるため」ということだそうなのだが,手のひらを返すような今回の方針転換があまりいい印象をもたらさないであろうことは想像に難くなく,未だ腑に落ちない気分でいる読者もいるだろう。

 とはいえSenseiが,ゲーマー向けマウスとして評価の高い「」(以下,Xai)の後継製品であることは間違いない。マウスの評価は実際の使い勝手に対して下されるべきで,SteelSeriesの姿勢そのものは関係ないはずだ。
 というわけで,発売から約1か月,じっくり使ってみたうえでの評価をお届けしたい。

Xai同様,シンプルな形で持ち方の自由度は高いボタン類の品伽釾aiと変わらず良好
本体底面の設定用液晶パネルもXai譲り。ソールの形状もXaiと同じなので,既存の代替ソールをそのまま使える  さて,それでは外見から見ていこう。
 Senseiは,Microsoftの名作「Wheel Mouse Optical」とよく似た,左右対称形のワイヤードマウスだ。もっと言うと,68.3(W)×125.5(D)×38.7(H)mmという本体サイズも含め,形状はXaiとまったく同じ。プロファイルやCPI設定などを変更するための液晶パネルを搭載している点もXaiと同じだ。本体カバーが金属コーティング仕様になっているのを除けば,Xaiとの間に外観上の違いは認められない。
の比較用リファレンス「G5 Laser Mouse」(型番:G-5T)と並べたところ。ゲーマー向けマウスとして大型のG5 Laser Mouseと比べればSenseiはわずかに小さいが,世間一般のマウスと比べると大きな部類に入るだろう こちらはSenseiを通電させた状態でXaiと並べたところだ。見た目が派手になっているのを除けば,SenseiとXaiの間に違いはない
 形状が変わらないので,握った印象もXaiから変わらない。クセの少ない左右対称形状のため,さまざまな持ち方が可能になっていて,ユーザーのほうがマウスの形に合わせたりする必要がないのは,Sensei(とXai)の魅力だ。
 「つまみ持ち」(Fingertip grip)時は,本体両サイドの軽く凹んだ形状が,指先の力を伝えやすくなっており,手首から人差し指と中指までの線に対してマウスを反時計回りや時計回りに大きく傾けてに対して斜めにつかむような持ち方も容易だ。「つかみ持ち」(Claw grip)の場合は,マウス本体を深めに握って,手首側へ引き寄せるようなケースだと凹みとのバランスが今ひとつになり,力を入れづらい印象もあるが,浅めにつかむ分には凹みに指が収まりやすい。
 また,本体を包み込むように「かぶせ持ち」(Palm grip)するときは,本体後方のラインが手のひらにほどよくフィットしてくれる。
本体の左右側面はつや消し加工されたラバーでコートされていて,さらさらした手触りながらも適度な摩擦力がある。マウスの前後中央付近を境として凹み,さらに,マウス後方からのカーブが,前方からのカーブを上から覆うような形状になっており,指先でつまんだりつかんだりしやすい
 Xaiからの大きな変更点となる金属コーティングは,見た印象だけだと相当に手が滑りそうなのだが,実際にはびっくりするくらい滑らない。そのあたりも含めて,形状面でXaiやそのほかのマウスから乗り換えるにあたっての不安はないと述べていいだろう。

本体カバーの金属コートによってスペック上は若干重くなったが,Xaiとの違いはほとんどない  ケーブルを除いた本体のみの公称重量は,Xaiの98gから,金属コーティング分だけ増して102gとなっている。数字のうえでは4g重くなったわけだが,交互に持ち比べてみても,気持ちSenseiのほうが重いかな? といった程度の違いでしかなく,正直,ブラインドテストで区別できる自信はない。いずれにせよ,この大きさのマウスとしては標準的な重さであり,連続使用による腕への負担は少ない印象だ。
ケーブルは布巻き仕様で柔らかめ,いわゆるケーブルアンカー,ケーブルスタビライザーの類がなくとも,取り回しの不便さは感じない
メインボタンは本体上面と一体化したタイプ。ボタンが左右に分かれるところよりも手前側(=マウス後方側)だとさすがにクリック不可能だが,それより奥側(=マウス前方側)であれば問題なく押下できる  左右メインにセンタークリック機能付きスクロールホイール,左右両側面に2個ずつ用意されるサイドという計7ボタン構成も,もちろんXaiと同じ。スクロールホイールの手前側(=マウス後方側)に,CPIの切り替えや,液晶パネルを使った設定変更機能を呼び出すための[CPI/LCD Menu]ボタンが用意されていることも含め,レイアウトに変更はない。軽く,カチカチとしたクリック感のマイクロスイッチを全面的に採用する点も変わらずである,rmt
サイドボタンはストロークが浅く,軽く触れただけで反応してしまう。そのため,使わないボタンは無効化しておかないと,押すつもりがないのに入力されてしまうことも  ただこれは,マウスの側面と押さえる指がサイドボタンに被さってしまうため,マウスを動かすとき,意図せずサイドボタンを押下してしまうことがある弱点が変わっていないこととも同義だ。「本体をしっかりホールドしつつ,かつ,正確にAIMできる状態を維持しながらでも押せる場所にサイドボタンがあり,実際押しやすい」というのは間違いなくメリットなのだが,押しやすさよりも正確なボタン操作を求める場合には気になる点だ。
 指先を立てるようにして持てばこの“誤爆”問題は回避できるものの,指先を側面にぴったりと沿わせる持ち方をする人なら,ほとんどが一度は味わうことになるはずだ。とくに薬指や小指側のサイドボタンは“誤爆”しやすいので,使わないのであれば,サイドボタンは積極的に無効化したほうがいいだろう。
LEDが埋め込まれたスクロールホイールは,表面に刻まれる溝の数がXaiよりも少なくなって,溝と溝の間隔が広がっているが,クリック感やストローク感といった基本特性は変わらず。上下の回転は若干滑らかになったようにも感じられる  ホイールは、LEDイルミネーションが埋め込まれた関係でXaiからは変わってはいるのだが,クセのない作りという点は同じ。1つ1つの刻みがはっきりしたスクロールホイールは,回転中,中間で止まってしまうようなことがなく,また,センタークリックが暴発したりすることもないため,安心して操作可能だ。
 ちなみに,ひょっとすると個体差かもしれないが,少なくとも手元にあるXaiと比べると,回転時のノッチ音が若干抑えられているのは,細かい点だが嬉しいところである。

プロファイル設定はマウス本体のみで可能設定ソフトを使ったカスタマイズは難解さも
液晶パネルを見ながらスクロールホイール(およびセンタークリック)で操作すると,センサー周りの基本設定を変更できる。ホイール回転の代わりにサイドボタンを使うことも可能だ  本体底面に液晶パネルを搭載していると先ほど述べた時点で想像できた読者も多いと思われるが,Senseiは,Xaiから変わらず,設定を保存するためのフラッシュメモリを内蔵しており,CPI設定やそのほかセンサー周りの挙動設定変更を,マウス側で完結できるようになっている。
 Sensei(やXai)は別途ドライバソフトウェアのようなものを必要としないため,どのPCに差しても同じ設定を利用できるうえ,どのPCとつなげた状態でも設定を変更可能だ。しかも,設定内容はプロファイルとして,最大5パターンを保存しておける。

 設定変更は基本的に,ホイール手前の[CPI/LCD Menu]ボタンを2秒ほど長押ししてメニューを呼び出し,そこでプロファイルを選択するだけ。プロファイルを選択すると,以下の設定を変更できる。( )内は選択できる設定値だ。変更後,[Set as current]を選択すれば,晴れてプロファイルに上書きされる。

本体上の機能表記はXaiのときと変わらず,大文字と小文字が入り交じったもの。本文ではSteelSeriesの公式表記に従っている  Xaiとの主な違いは,EXACTSENSの幅と,EXACTAIMの概念(※Xaiのときはセンサーが取得するノイズの補正量設定だった)と,POLLING RATE(Xaiのときは1Hz刻み)といったところ。Xaiを使ったことがあればまったく問題なく移行できるだろうし,そうでなくとも,少し使えば慣れるだろう。
 内部処理用に搭載したとSteelSeriesが謳うARMベースCPUのおかげか,反応は全体的にXaiよりも軽快だ。

 ただ,マウス側で何でもかんでも設定できるかというとそんなことはなく,ボタンの割り当てなど,より高度な設定を行うためには,設定ツールをPCにインストールしなければならない。
Engineはからダウンロードできる。今回のテスト中,2011年11月18日付けで2.1.728がリリースされたので,それでテストし直している  Senseiでは設定用ソフトウェア「SteelSeries Engine」(以下,Engine)が用意されている。Xaiのときは専用の「Xai Configuration」だったが,将来的に複数のSteelSeries製品で設定を一括して行えるようにするため,総合設定ユーティリティとしてEngineが新たに導入された次第である。
 本ツールは製品ボックスに同梱されていないため,から入手してセットアップする必要がある。Engineの導入時にはファームウェアも一緒にアップデートされるため,セットアップが完全に終わるまで,SenseiはPCから外さないほうがいいだろう。
 なお,ファームウェアのアップデート後に最新のファームウェアが単体で公開された場合には,Engineとセットでインストールされる「Repair Tool」からファームウェアだけアップデート可能だ。
 さて,セットアップが終わるとEngineはタスクトレイに常駐し,アイコンのダブルクリックから設定ウインドウを呼び出せるようになる。
 ウインドウは左ペイン上段が現在接続されている対応製品の一覧で,その下にはPC(のHDD)に保存されているプロファイル一覧。その右に広がった大きなスペースが実際の設定項目になっており,上段には設定項目を切り替えるタブも用意されている。

SteelSeries Engineのメインウインドウ
「On Board Profiles」タブ。左ペインのプロファイルをProfile 1?5の上にドラッグ&ドロップすると上書きされる  Engineをインストールした時点で,参考用のプロファイルがいくつか用意され左ペイン下段で斜体になっているのがそれだており,それらや,ユーザーが[New Profile]ボタンから作成したプロファイルなどをクリックすると,PCの応答が1?2秒ほど停止して,その間に,クリックしたプロファイルの内容が,Sensei内蔵フラッシュメモリの「Profile 1」に上書きされる。つまり,Sensei本体側でどれだけ「Profile 1」の設定を追い込んでも,Engineからプロファイルを設定すると,問答無用で差し替えられてしまうのだ。設定内容は上書きされるにもかかわらず,プロファイル名称は上書きされなかったりするのも,理解のしづらさに拍車をかけている。
 さらに,本体側で「Profile 2」を選択した状態でも,書き換えられるのは「Profile 1」になる。そのため,意識していないと「あれ,差し替えたつもりなのに変わってないぞ?」と勘違いする事態に陥りやすいのだ。

 もちろん,Engine側のプロファイルはSensei側の「Profile 1?5」へ書き込めるのだが,その場合は,メインメニュー上段の「On Board Profiles」タブをまず選択してプロファイル一覧を表示させたうえ,左ペインに並んだプロファイルをドラッグ&ドロップで目的のプロファイルへ放り込んでやらねばならない。「On Board Profiles」タブを開いた状態でも,左ペインのプロファイルをクリックしただけだと,書き換わるのは「Profile 1」だったりする。

 正直,お世辞にも直感的とはとても言えない。付属の簡易マニュアル,そしてPDF版の詳細マニュアルにも,この仕様に関する説明がなく,これも相当に問題だ。Engineをアップデートして使いやすくするか,最悪でもマニュアルに追記する措置が早急に必要だろう。

 もう1つ,「Properties」タブでは,アプリケーションの起動をトリガーとして,プロファイルを自動的に切り替える機能が用意されているのだが,ここでは,

「Properties」タブからはプロファイルの自動切り替え機能を設定できるが,挙動のせいで,使い勝手は今ひとつ といった制約がある。とくに3.はなかなかやっかいで,ウインドウモードでゲームを起動し,別途ブラウザで情報を拾いながらゲームを進めるような場合,フォーカスが切り替わるたびにPCがフリーズしたような状況になるのは,正直,鬱陶しい。

 ……と,いろいろダメ出ししたところで,Engineから行える設定をまとめておこう。
 まず「Settings」タブでは,本体側で行える設定に加え,下記2項目の設定が行える。センサーの挙動とは直接関係ない部分を変更できるようになるという理解でいい。

LED COLORSでは,1677万色から選択可能になっている。ホイールと,(ホイールと[CPI/LCD Menu]ボタンの間にある)CPIインジケータ,SteelSeriesロゴ部の色は個別に設定可能  使ってみて気になったのは,Engine側で5700CPIに設定すると,本体側の液晶パネルから確認したとき,なぜか5670CPIになっている点と,「まったくもってバカげた“CPIレース”をきっぱりと終わらせ」(SteelSeries)るために搭載された「Double CPI Range」による5701?11400CPI設定が機能していないようで,5701CPI以上に設定しても,5700CPI(あるいは5670CPI)相当のCPI値しか得られていないことだ。このあたりはファームウェアのアップデート待ちかもしれない。
LEDの色は1677万色から選べるが,基本の10色もご覧のとおり用意されている。上段左から赤,オレンジ,黄,黄緑,緑。下段左から濃いピンク,薄いピンク,濃い青,薄い青,水色。どの色もけっこう素直に出ている印象だ
 次に「Buttons」タブだが,ここでは文字どおり,ボタンへの機能割り当てを変更できる。ただ,これまたUIがかなり難解で,マクロ名の表示を修飾する「わけの分からないボタン」が配置されているとか,「キーボードの単一キー押下」を設定できず,それもマクロとして登録する必要があるとかいった具合だ。実現できる機能がシンプルな割に,使い勝手は直感的でない。
 なお,ユーザーが作成したマクロ(や単機能のキー押下)は,「Custom Actions」の「Macro」としてButtonsタブ以下に登録される。Custom Actionにはそのほか,「Launch Application」と「Diable Key」という,文字どおりのアクションを利用できる機能も用意されているのだが,それらを一緒くたにまとめる意味はあまりなく,これまた分かりづらい。

マクロには,基本的なキー押下と,マウスボタンの組み合わせ(※上下スクロールおよび[CPI/LCD Menu]ボタンを除く),そしてディレイのみが登録可能。[Ctrl]や[Ctrl+W],[A+S+D]といった1アクションを割り当てた場合は,押下している間のキーリピートが入力されるが,[Shift+A]の次に[S],次に[D]という順番で入力されるようキーマクロを組んだときは,リピート入力されない。なお,適当なキーを2個連続で押下するマクロを組み,「nProtect GameGuard」が有効な某ゲーム上で動かしてみたところ利用はできたが,使用にあたってはゲーム側の規約に従ってほしい
 以上,全体として,機能のシンプルさに比べて,非常に取っつきにくいユーザーインタフェースとなっているのが残念だ。そのほかにも,プロファイルの切り替えをタスクトレイから行えないため,いちいちメインウインドウを開かねばならなかったり,アンインストールなしにEngineの常駐を解除する手段が提供されていなかったり,設定中に設定ツールが応答しなくなったりと,改善すべき点は枚挙に暇がないほど。SteelSeriesは,とにかく一刻も早く,Engineの使い勝手をどうにかすべきだろう。


微加速はあるが気にならない程度で追従性は高い直線補正やリフトオフディスタンスはお好みで
 Engineによる設定周りが難解で,いきおい説明が長くなってしまったが,例によってセンサー性能も見ていきたい。
 Senseiが採用するレーザーセンサーはXaiと同一とのことなので,今回はソフトウェア補間の入らない5700CPI(※5670CPIの可能性もある)に本体から設定して,追従性のチェックを行いたいと思う。テスト環境は表1のとおりで,検証方法の詳細はその下に箇条書きでまとめたとおりだ。


●Senseiの設定

●テスト方法

 テストに用いたゲームタイトルは今回も「Warsow 0.62」だ。本テストにおけるゲーム内の「Sensitivity」設定は,マウスに厳しい条件となるよう,「180度ターンするのに,マウスを約30cm移動させる必要がある」値である0.15に設定し,読み取り異常の発生を分かりやすくさせている。
 そのうえで,各種マウスパッドとの相性を確認した結果が表2となる。

「相性の程度」は,高速/中速/低速操作において問題がなかったか,あったとすればどういう問題が生じたかを示した項目。○は「問題なし」,△は「基本的に問題ないが,まれにおかしな動作が見られる」,▲は「ポインタの移動中,異常な動作が高確率で見られる」,×は「使い物にならないレべルの異常が発生する」ことをそれぞれ示す。
なお,ここでいう「異常」とは,「動作中にポインタが反応しなくなる」「ポインタがあらぬ方向へ飛んでしまうような動きをする」「動かす速度によってマウスの実際の移動距離と画面上でのポインタの移動距離が変化する」のいずれかをもってそう判断している
 ご覧のとおり,総じて追従性に問題はないと言っていい。高水準でまとまっている印象だ。Xaiや「」などで見られた,高速操作時,わずかにポインタの移動量が増える「微加速」は,やはりSenseiでも確認されるが,これは「とてもゲームでは使えないほど思い切り腕を振ったときに,ポインタの移動量がほんのわずかに増える」といったものなので,現実的なAIMへの影響はないと述べて差し支えない。「SteelSeries QcK」のみ,高速操作時,まれにポインタ飛びが見られたり,微加速の程度が若干大きかったりしたため△としたが,その程度である。

Engineの「Settings」タブ。ほかのタブと比べるとかなり分かりやすいのだが,それでも,本体側の液晶パネルとEngineとで表記が異なっていたりするのはやはり気になる。「EXACTLIFTのデフォルト値が16で,それがEngineでは40%と表記される」のは,少なくとも使いやすくはない  リフトオフディスタンスは,本体側設定が16(=Engine側設定「40%」)のデフォルト状態でも,1円玉2枚程度と,十分に短い。もちろん調整すれば1枚程度にすることもできるうえ,長くしたい場合にもEXACTLIFTは対応してくれるので,好みの長さに調整するといいだろう。
 ただ,一気に低くしすぎると,センサーがまったく反応しなくなるので,その点は要注意だ(本体側で設定を戻してやればいいので,大きな問題にはならないが)。また,本体側とEngine側で設定値の表記が異なるのも,少々やっかいな部分ではある。

 Xaiのときから位置づけが変更になり,「マウスを低速で操作したときに感度を落とす」機能となったEXACTAIMは,正直,使いどころが今ひとつ分からない。「高CPI/DPI設定時に布製マウスパッド上でボタンをクリックするとポインタがブレてしまう」という問題を回避するために似たような機能を採用している他社製品はあるので,おそらく目的は同じなのだと思われるが,「同様の機能」の評判がよくないので,あえて設定する必要はないように思う。
 なお,下に示したのは,FREEMOVEの設定によって,直線補正にどの程度の違いが出るのかを見た結果だ。いずれも,Sensei側設定を5700CPI,POLLING RATE 500Hz,EXAVTLIFT 16(40%)に設定しつつ,「G-TF Speed Version」で「ペイント」から線を描いてみた結果だが,FREEMOVE 0(左)とFREEMOVE 10(右)では,直線補正の度合いに明らかな違いがあると分かる。

FREEMOVEの値が変わるとどの程度補正に変化が出るのかを試してみた結果。FREEMOVE設定を10にすると,円の形状が変わるほどの補正がかかる

ハードウェアの完成度は相当に高いものの現時点ではEngineが足を引っ張っている
製品ボックス  ハードウェア面だけ見れば,Senseiの完成度は非常に高い。クセが少なく幅広い持ち方に対応できる形状は万人向けで,サイドボタンを多用する人にも対応できるボタン数や,安定したセンサー性能など,大きくマイナス評価しなければならない部分は見当たらない。

 だが,Engine周りは,相当に甘く採点しても,2011年12月上旬時点では未完成だ。最低でも,挙動のおかしさは早急に対処されるべきで,まったく直感的でない操作性にも,大いにメスが入れられるべきだ。並行して,マニュアルの整備も進める必要があるように思われる。
 実勢価格が1万円を超えている点も,手を出しづらくさせている印象だ。国際市場での販売価格は89.99ユーロ(約9450円)なので,SteelSeriesは相応に頑張った価格設定を行っているとは言えるのだが,このEngineやファームウェアの完成度を見せられると,やはり高い印象が拭えない。
 というわけで,現時点では何とも評価が難しいというのが,Senseiに関する率直な感想である。問題点は明確で,かつ,修正が効く部分なので,ひとまずはEngineのアップデートを待つのが正解だと思われるが,Engineを使う気がないというなら,今すぐ手を出しても後悔することはないだろう。
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